こんにちは。女性の海外ライフスタイル研究所 代表まつなおです。
私たちはアメリカで、これまで約25年にわたって、海外に住みたい女性たちをサポートしています。
「Noと言えない日本人」と言われるように、断る場面で気を遣いすぎてしまう方は多いのではないでしょうか。
でも、断ることは決して悪いことではありません。むしろ、自分の気持ちを大切にしながら、相手と誠実に向き合うための大切なステップです。
今回は、アメリカの文化を参考に、断るときに意識するポイントや相手に伝える際の考え方について、私の実際のエピソードも踏まえてご紹介します。
「No」を伝える=自分の考えを相手にしっかり伝えること
日本では「相手を傷つけたくない」という思いやりから、つい言葉を濁してしまうこともありますよね。その配慮する気持ちは、とても素敵なことです。
でも、自分とは異なる相手が自分の配慮を完全に察することは、どうしても難しいと思います。
そのため、アメリカでは、日本のように相手の気持ちを察するよりも、自分の考えをはっきり伝えるほうが主流です。 NoであればNoと、はっきり伝えなければ本当に自分の思いが伝わらないのです。
アメリカ文化に慣れた私が思うのは、日本においても「No」を伝えるというのは、自分の考えを相手にしっかり伝えるために大切だということです。どのように「No」を伝えればよいのか、ぜひ、アメリカ文化から学んでみてください。
断るときはアサーティブコミュニケーションを意識しよう
アサーティブコミュニケーションという言葉を聞いたことはあるでしょうか?アメリカではよく耳にする言葉です。
これは、相手を尊重しながら、自分の意見や気持ちを誠実に・率直に・対等に伝えるコミュニケーション方法のことをいいます。日本にも海外からの移民や旅行者が増えて、どんどん多様化が進んでいますよね。そんな中でアサーティブな考え方はスタンダードになっていくと思います。
アサーティブミュニケーションにおいては、次の4つを中心に会話をすることが大切だといわれています。
・率直(Honest)
・対等(Equal)
・誠実(Fairness)
・自己責任(Responsibility)
まずは、自分の気持ちや意見を正直に伝えることが基本です。そして、対等な立場としてお互いを尊重することを意識しましょう。
また、相手の立場や感情も大切にして、お互いに誠実に向き合うことが大切です。そのうえで、コミュケーションも人生も自己責任であることを念頭に、自分の意見や感情について自分で責任を持つことが重要ということです。
このアサーティブミュニケーションを意識して、「あなたはYesでいい。私はNoだけど、お互いにそれでいいですよね」と互いを認め合う姿勢があることで、衝突せずに対話が続き、意見の違いがあっても関係がこじれにくくなります。
違いを伝え合うことも“アサーティブ”の1歩
このような“互いを尊重する姿勢”は、生まれ育った国が違うような、異なる背景を持つ人との関係でも特に大切です。
私もアメリカ人の夫と暮らす中で、違いを実感することがあります。
たとえば、アメリカ人の夫と麺類を食べに行ったとき、「もう少し静かに食べてほしい」と言われたことがあります。この理由は、アメリカでは食事のときに音を立てずに食べるのがマナーとされている文化があるためですね。
これに対して私は「これは日本では麺をすすることがおいしさを表す文化のひとつなの」と伝えました。日本の蕎麦屋さんなどでは、ズルズルと音を立てておいしそうに食べるのが自然な光景ですよね。
夫がアメリカのマナーを大切にしていることは分かりますが、日本では麺をすすることも食の楽しみ方の1つで、そこは譲れない部分でもあります。
このように、「あなたがそれを大事にしているのは理解しますが、私にはこういう考え方があります」と、きちんと理由を添えてお互いを尊重しながら自分の意見を伝えることが、より深い信頼関係を構築していく上で大切だと感じています。
思いやりのある「No」を伝えるために
思いやりのある「No」を伝えるにあたって、「私はこっちのほうが好きだよ」と、別の選択肢を提示するような言い方もおすすめです。「それは嫌だ」と否定するのではなく、「こっちのほうはどう?」とやわらかく提案することで、相手に不快な印象を与えず自分の考えを伝えることができます。
アサーティブな考え方を意識して「No」を表現すれば、感情的な印象はなくなり、むしろ誠実さが伝わります。
アメリカは自己主張の国というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。でも、実際には、相手の意見を一方的に否定したり、自分の考えを押し通したりするわけではありません。
主張の根底には、必ずアサーティブな考え方があります。
お互いの意見や立場を尊重しながら、前向きで建設的な関係を築こうとする姿勢を持ち、自分の考えを伝えると同時に、相手への思いやりも大切にしているのです。
そしてこの考え方は、Noを伝えるときに「相手を傷つけたくない」と思う日本人の優しさとも通じているように思います。アサーティブな視点を少し取り入れることで、断るときにも少し勇気が持てるようになるのではないでしょうか。
まとめ
アメリカでは、「断る」ということは誰かを拒む行為ではなく、自分の考えを相手にしっかりと伝えることを意味します。そして、その中には、相手の感情に寄り添う言い方や相手を尊重しながら伝えるというアサーティブな考え方が根底にあります。
相手への思いやりの気持ちと自分の考えを伝える気持ちのバランスを少しずつ意識してみることで、「No」のハードルもぐっとさがるのではないでしょうか 。
ぜひ、あなたらしい、より自由で、より誠実な人間関係を築くチャレンジを続けていきましょう♪
海外でのコミュニケーションをもっと知りたい人は、ぜひ私たちに 相談してみてくださいね。
(取材・執筆協力:古川雪奈)
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